発育性股関節形成不全症(先天性股関節脱臼)
難しい病気のように聞こえるかもしれませんが、少し前まで「先天性股関節脱臼」と言われていた病気です。先天性という生まれつきの病気と思われがちですが、生まれつき脱臼していることは少なく、生後の環境要因によって股関節が脱臼する例が多いことがわかり病名が変わりました。脱臼というのは関節が抜けてしまう状態です。
成人後に脱臼がある場合は、下肢短縮のため著明な跛行があったり、股関節痛が生じたりします。
この病気は、1000人に1~3人の患者さんがいますが、1960年代と比較すると約1/10に減少しています。
周産期に緩みのある赤ちゃんの股関節が、下肢を伸ばした位置でおむつをするなどの間違った育児習慣によって外れていくことが多いといわれています。
診断)
このうち1がある場合か、2~5のうち2項目を満たす場合は2次検診を受けるよう推奨されています。超音波やX線を用いた画像診断にて確認してもらいましょう。
予防)
赤ちゃんのおむつをギュッと締めすぎない、おくるみでくるまないようにしましょう。
赤ちゃんの股関節は、開いた状態でバタバタ自由に動かすことによって良好な発達が得られます。チャイルドシートやトッター使用時も両足がそろわないように注意し、M字になるようにしましょう。抱っこの仕方も大切で、赤ちゃんが股を開いた状態で抱っこするコアラ抱っこや縦抱っこが推奨されています。向き癖がある場合、向きにくい方の足の開きに注意しましょう。顔を向きにくい方に向けるよう工夫しましょう(向き癖の項目を参照してください)。
治療)
乳児期に発見された場合は、リーメンビューゲルと呼ばれる装具療法が行われます。この装置で整復が得られない場合や患児が大きくなりすぎている場合は、オーバーヘッド・トラクションといわれる入院牽引両方が行われます。
脱臼整復は、リーメンビューゲルで80%前後、残りの20%のうち、その80%が入院牽引療法で整復されます。残りの5%前後が手術を要することになります。
下記の動画やパンフレットを参考にして下さい。