低身長の定義は、成長障害の中で、同性・同年齢の小児の平均身長の-2SD以下、あるいは3パーセンタイル以下を指します。
成長率については、同性・同年齢の平均成長率の-1.5SD以下を成長の低下と呼び、これが2年以上つづくようなときは、現在の身長が標準範囲にあっても成長障害としてとらえます。
成長障害全体の約70%を占めるのが特発性低身長症(家族性低身長を含む)と言われているもので、原因は明確ではありません。その他の原因として、遺伝疾患、甲状腺機能低下症やステロイドの過剰投与、愛情遮断症候群、内分泌疾患、腎疾患、心疾患、呼吸不全などでも見られます。また、成長ホルモン分泌不全症や、ターナー症候群、プラダーウィリー症候群、ヌーナン症候群、SGA性低身長症、慢性腎不全性低身長症、軟骨異栄養症などの病気に伴う低身長で、成長ホルモン薬の投与により、身長の改善が期待できる疾患もあります。
低身長が疑われた場合は、出生時の状況の確認や、成育歴、身長、体重、頭囲などの計測、血液検査、尿検査、手のレントゲン、成長ホルモンの分泌刺激試験などを行い、原因検索をします。
低身長の治療として、成長モルモン治療の適応があれば、成長ホルモンを投与します。
成長ホルモン治療の適応がない場合は、原疾患の管理、栄養相談、生活習慣の見直しなどを行います。
発育曲線をつけて、身長が-2SD以下であったり、成長速度が落ちてきている場合は、原因検索が必要です。
低身長が気になる方は、成長曲線をつけていただき、異常が疑われる場合は、ご相談ください。
こどもの肥満が増えてきています。こどもの肥満は成人期の肥満に移行する可能性が高く、10歳代から動脈硬化の進行がみられ、将来的に脳梗塞や心筋梗塞を発症するリスクがあります。肥満が疑われる場合には合併症の有無を確認しながら、早期から治療を開始することで、お子さんの将来を守ることになります。
肥満とは、脂肪組織が過剰に蓄積した状態です。
肥満症とは、肥満に起因した健康被害を合併するか、その合併が予想される場合で医学的に減量を必要とする病態をいいます。肥満症の合併症としては、高血圧、呼吸障害、睡眠時無呼吸、2型糖尿病、耐糖能障害、内臓脂肪型肥満、早期動脈硬化、非アルコール性脂肪性肝疾患、脂質異常症、高尿酸血症、運動器疾患、運動器機能障害、黒色表脾腫、月経異常、腎障害、精神的・心理社会的問題などがあります。
メタボリック症候群とは、腹部肥満を必須として、脂質異常、血圧高値、空腹時血糖上昇の3つの動脈硬化危険因子のうち、2つ以上が特定の個人に集積している病態をいいます。
肥満の定義は、肥満度が+20%以上、かつ体脂肪率が有意に増加した状態をいいます。
(有意な体脂肪率の増加とは、男児;年齢を問わず25%以上、女児:11歳未満は30%以上、11歳以上は35%以上)
肥満度は(実測体重-標準体重)/標準体重×100で計算されます。
20%以上;軽度肥満、30%以上;中等度肥満、50%以上;高度肥満とされます。
小児肥満症や小児のメタボリック症候群の診断基準は、小児肥満ガイドラインに示されています。
小児の肥満は、30年間で増えてきています。
肥満で受診される児の9割に血圧、耐糖能、肝機能、血清脂質のどれか一つ以上に異常を認め、その6割は深刻な数値です。
こどもの肥満のリスクとして、両親の肥満やストレス、環境などがあります。また、病気の合併症としての肥満もあります。
動脈硬化は10歳代から始まっています。
こどもの肥満が将来の成人肥満に移行し、高血圧、糖尿病、脂質異常などを合併すると、動脈硬化が進行し、脳梗塞・心筋梗塞などの原因になるため、早期から対応が必要です。
小児の肥満症の治療として、食事療法、運動療法、行動療法、薬物療法などがあります。
肥満度判定曲線で、お子さんの肥満が疑われる方は、ご相談ください。